和歌山

和歌山・七曲市場|ディープすぎる昭和バラック市場由来の商店街

七曲市場
chinspotwalker

和歌山県和歌山市。
地方都市の多くが郊外型大型ショッピングモールや全国チェーン店に生活の中心を移す中で、和歌山市駅から1kmほどのところにある一角には、まるで時代から取り残されたかのような“昭和の生活空間”が存在しています。

今回は、地元で長年親しまれてきた「七曲市場(七曲商店街)」を歩きます。戦後のバラック小屋の香りが70年以上経った今も感じられる、生々しい遺構がそこにありました。

入口から放たれる“バラック起源”の空気感

現地に到着してまず圧倒されるのが、市場の入口から漂う独特の佇まいです。
鈍く光るトタンや年季の入った看板群。そのすべてが生粋の昭和市場のオーラを全身から放っています。

和歌山県の昭和レトロな七曲市場
七曲市場の入り口

ちなみに七曲市場は、上空から見ると「千」の字のように一風変わった構造になっていることで知られています。まっすぐな商店街ではなく、いくつも折れ曲がった通路が連続しており、その名の通り“七回曲がる市場”のような構造です。

和歌山県の昭和レトロな七曲市場
上から見ると「千」の形
豆知識

この地には何度も鉤状に曲がる路地があり、この路地が七曲という地名の由来とされる(Wikipediaより)

和歌山県の昭和レトロな七曲市場
別の入り口
和歌山県の昭和レトロな七曲市場
トタンが錆だらけの別入り口

ルーツは明治時代、戦後復興で現在の姿に

七曲市場の起源は、明治時代にまで遡ると言われています。
当初は周辺住民の生活を支える小規模な市場が自然発生的に形成されていったようです。
しかし、太平洋戦争末期の和歌山大空襲によって、この一帯は壊滅的な被害を受けます。
戦後の1949年(昭和24年)、焼け野原となった土地にバラック店舗が次々と建てられ、現在の七曲市場の原型が誕生しました。
さらに1957年(昭和32年)には「七曲商店街協同組合」が結成され、正式な商店街として発展。高度経済成長期の1960〜70年代には、大勢の買い物客で賑わっていたそうです。

和歌山県の昭和レトロな七曲市場
七曲商店街協同組合

郊外化の波と、“生き残った昭和”

しかし時代が進むにつれ、全国の商店街と同じように七曲市場も変化していきます。
郊外型スーパーや大型商業施設の台頭によって客足は減少。現在では、全盛期を知る人からするとかなり寂しい雰囲気になっています。
とはいえ、“廃墟化”しているわけではありません。
現在でも、
• 青果店
• 鮮魚店
• 惣菜店
• 飲食店
などが営業を続けており、周辺住民の台所として今も地域の日常を支えています。この「観光地化されていない感じ」が、逆にたまりません。

和歌山の昭和レトロな七曲市場
アーケードのため昼間でも薄暗い
青果店
鮮魚店

大量の袖看板とトタンの迷路

市場内部を歩いていると、意外と情報量が多い。
特に印象的だったのが、通路上部に連なる袖看板です。
色褪せたフォント、昭和的なデザイン、古い塗装。
それらが狭い通路に密集している様子は、まるで昭和の空気が物理的に保存されているかのようでした。

和歌山の昭和レトロな七曲市場
レトロな袖看板
和歌山の昭和レトロな七曲市場
和歌山の昭和レトロな七曲市場


さらに奥へ進むと、妙にそそられる細い路地が現れます。
その迷路感は、戦後マーケットの巨大遺構である大阪・鶴橋の市場にも少し似ています。
どこへ続くのかわからない細道。
突然現れる小さな店。
暗がりと生活感が混ざり合った独特の湿度。
市場の中を歩いていると、どこか“結界の内側”へ入り込んでしまったような、不思議な異世界感がありました。

和歌山の昭和レトロな七曲市場
異世界感がすごい

川崎「小向マーケット」を思い出す空気

この七曲市場の空気は、かつて神奈川県川崎市に存在した「小向マーケット」の佇まいを強く思い起こさせます。

川崎の小向マーケット
解体されてしまった小向マーケット


あちらも戦後バラック市場の空気を色濃く残した場所でしたが、残念ながら現在は解体されています。
だからこそ、七曲市場のような場所が今なお現役で残っていること自体が、本当に貴重です。
再開発によって均質化された商業施設では絶対に出せない、“生活の積層”がここにはあります。

まとめ|昭和の生活空間が、今も呼吸している

七曲市場は、観光向けに整備されたレトロスポットではありません。
そこにあるのは、
• 戦後復興バラック市場の名残
• 昭和の看板文化
• 地元密着型の商店
• 迷路のような市場構造
といった、“リアルな昭和”そのものです。
全国的にこうした市場は急速に姿を消しています。
だからこそ七曲市場は、単なる懐古趣味ではなく、日本の戦後庶民文化を今に伝える極めて貴重な「生きた昭和遺産」と言えるでしょう。

あわせて読みたい
和歌山・七曲市場|ディープすぎる昭和バラック市場由来の商店街
和歌山・七曲市場|ディープすぎる昭和バラック市場由来の商店街

YouTubeで見る

スポット情報・アクセス

・訪問スポット:七曲市場(公式Instagram
・住所:和歌山県和歌山市東長町2-36-30(Googleマップで開く
全国珍スポMAP(昭和レトロなどジャンル別に絞り込みできます)

記事URLをコピーしました