戦争遺跡

日本武道館だけじゃない!九段下の知られざる歴史スポット8選

日本武道館
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日本武道館は「武道」と「音楽」の聖地

田安門を抜けると、皆さんご存知の日本武道館が姿を現します。

日本武道館

1964年の東京オリンピックの柔道会場として建設されたこの名建築を手がけたのは、お茶の水の「聖橋」や「京都タワー」の設計も手がけたモダニズム建築の巨匠・山田守。
平面の八角形は奈良・法隆寺の夢殿をオマージュしたもので、四方八方から美しく稜線を描く屋根は富士山をイメージしています。

そして、爆風スランプの代表曲「大きな玉ねぎの下で」のモチーフとなった屋根の頂点に輝く金色の「玉ねぎ」。あれは正確には「擬宝珠(ぎぼし)」と呼ばれるもので、山田守が「武道の精神を象徴する、邪気を祓う魔除け」として、強いこだわりを持って設置したものです。
屋根の銅板は、完成当初こそ茶色でしたが、数十年の歳月を経てゆっくりと酸化し、現在は美しい青緑色へと変化。これは緑青といって、自由の女神や鎌倉の大仏も同じ現象です。周囲の緑と調和した姿は、まさに富士山を思わせます。

日本武道館
美しき日本武道館の屋根

音楽の聖地としての歴史もユニークです。武道館初のコンサートは、よく誤解されますがビートルズではなく、1965年に日本フィルハーモニー交響楽団を指揮した巨匠レオポルド・ストコフスキーの演奏会でした。その翌年に開催されたビートルズ公演では、「聖なる武道の殿堂で、不良のロックを演奏するとは何事か!」と右翼団体や世論を巻き込む大論争に発展。しかしそれを乗り越えたからこそ、現在の「音楽の聖地」としての絶対的なステータスが確立されました。

ちなみに、武道館における国内最多公演記録を持つのは矢沢永吉の160回、海外アーティストとしてはエリック・クラプトンの110回です(※2026年7月時点。矢沢永吉は2026年12月にも6日間公演を予定している)。

武道館に眠る「近衛師団」

現在の緑豊かな北の丸公園一帯は、明治から戦中にかけて、皇室と皇居を守護する陸軍の精鋭部隊「近衛師団」の広大な駐屯地(兵舎)でした。
戦後間もない1936-42年の航空写真を見ると、現在の武道館の敷地を取り囲むように、幾棟もの兵舎が整列していた様子をくっきりと確認することができます。

現在も、武道館のすぐ脇の茂みには「近衛歩兵第一連隊跡記念碑」や「近衛歩兵第二連隊記念碑」がひっそりと残されており、石碑には陸軍のシンボルである「五芒星」のマークが深く刻まれています。武道館でのライブのグッズ列に並ぶ人々のすぐ横で、軍都・東京の記憶が静かに息を潜めているのです。

終戦前夜、日本最後のクーデター未遂「宮城事件」

北の丸公園の南側まで進むと、クラシカルな赤レンガ造りの「旧近衛師団司令部庁舎」(重要文化財、旧東京国立近代美術館工芸館)が厳かに姿を現します。

旧近衛師団司令部庁舎
荘厳な旧近衛師団司令部庁舎

1945(昭和20)年8月14日。この美しい赤レンガの内部で、日本史の運命を左右しかねない最大の政変「宮城(きゅうじょう)事件」が勃発しました。

ポツダム宣言受諾(降伏)に反対する陸軍の畑中健二少佐、椎崎二郎中佐ら青年将校がここに乱入し、降伏を阻止すべく、近衛第一師団長・森赳中将を惨殺。司令部を占拠し、偽の命令書を発行して近衛部隊を動員し、皇居(宮城)を占拠しようとしました。彼らの目的は、翌日に放送を控えていた昭和天皇の「玉音放送の録音盤(玉音盤)」を奪取し、戦争を継続すること。

しかし、録音盤をどうしても発見することができず、クーデター計画はあえなく瓦解。翌15日の正午、予定通り玉音放送が全国へ流れ、日本は長い戦争の終結を迎えました。
武道館から目とは鼻の先にあるこの優美な洋館が、「最後のクーデター」の発端の場所だったんです。

旧近衛師団司令部庁舎
通風口にも五芒星

建物のそばには、当時の皇居を米軍の空襲から防空するための「高射機関砲の台座跡」が今も生々しく残っています。高高度を飛行するB-29にはほとんど届かなかったという悲しいコンクリートの遺構は、今では本来の役割を忘れ去られ、散策する人たちのベンチとして使われることが多くなっています。

高射機関砲の台座跡
土手の上に点在する高射機関砲の台座跡

まとめ|ライブ前に歩きたい、日本史の宝庫

日本武道館は現代の私たちにとってそこは音楽に没頭する至高のエンターテインメントの聖地です。

しかし、その周辺には、平将門の呪縛、江戸時代の壮大な治水インフラ、旧陸軍の栄華、そして終戦前夜に起きた日本最後のクーデター未遂事件まで、日本史の重要な舞台が驚くほど密集していました。

もし次に武道館のライブへ行く機会があるなら、いつもより少し早く家を出て、九段下から北の丸公園を歩いてみてください。何気なく訪れていた場所が、日本史の教科書そのものだったことに気付くはずです。ライブの熱狂と日本史の重みが、わずか数百メートルの中で交差する――そんな場所は、日本でもそう多くありません。

日本武道館
ライブ開催日、多くの人でごった返す日本武道館

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スポット情報・アクセス

・訪問スポット①:築土神社(外部リンク:公式サイト
・住所:東京都千代田区九段北1-14-21(Googleマップで開く

・訪問スポット:将門塚(外部リンク:公式サイト
・住所:東京都千代田区大手町1-2-1(Googleマップで開く
※九段下から離れてるので、タイトルにある「8選」からは除外しました

・訪問スポット②:九段会館テラス(外部リンク:公式サイト
・住所:東京都千代田区九段南1-6-5(Googleマップで開く

・訪問スポット③:大山巌像&高燈籠(外部リンク:公式サイト
・住所:東京都千代田区九段南2-2(Googleマップで開く

・訪問スポット④:千鳥ヶ淵&牛ヶ淵(外部リンク:公式サイト

・訪問スポット⑤:日本武道館(外部リンク:公式サイト
・住所:東京都千代田区北の丸公園2-3(Googleマップで開く

・訪問スポット⑥:近衛歩兵第一連隊跡記念碑&第二連隊記念碑
・住所:東京都千代田区北の丸公園1-1(北の丸公園)(Googleマップで開く

・訪問スポット⑦:旧近衛師団司令部庁舎(外部リンク:公式サイト
・住所:東京都千代田区北の丸公園1(Googleマップで開く

・訪問スポット⑧:高射機関砲の台座跡(外部リンク:公式サイト)
・住所:東京都千代田区北の丸公園1(千鳥ヶ淵の土手上)(Googleマップで開く

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