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酒蔵に眠る4000匹の魚|鳥取・境港の「海とくらしの史料館」

「海とくらしの史料館」のマンボウ
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鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」は、“水のない水族館”という異名を持つことで知られています。
「水族館なのに水がない」
いったいどういうことなのか。実際に訪れてみると、そこには想像を超える光景が広がっていました。

明治時代の酒蔵を利用した趣のある博物館

「海とくらしの史料館」があるのは、鳥取県境港市。
建物は明治時代に建てられた酒蔵を改修し、1994年にオープンしたもので、どっしりとした重厚感があります。

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
明治時代の酒蔵を改修した「海とくらしの史料館」

館内に足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのが巨大なサメ。
体長4.2メートルのホホジロザメの剥製です。

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
体長4.2メートルのホホジロザメ
鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
鋭い歯を持つホホジロザメ

映画「ジョーズ」のモデルで「人喰いザメ」のイメージがありますが、こうして間近で、しかも口の中まで眺められる機会はほとんどありません。
鋭い歯や巨大な体格を目の前にすると、その迫力に圧倒されます。

700種類・4000点の魚介類が並ぶ「水のない水族館」

「海とくらしの史料館」の最大の特徴は、圧倒的なボリュームの魚介類の剥製展示です。館内には実に700種類、約4000点もの剥製がズラリと収蔵されています。

クロマグロ

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
クロマグロ

マグロ類の中でも最大級の魚で、「本マグロ」の名でも知られる高級魚。大型のものは体長3メートル、体重400キロにも達します。

ウバザメ

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
ウバザメ

記録上の最大個体は11メートルにも達する巨大ザメ。その大きさから獰猛そうに見えますが、実際はプランクトンを食べる温和なサメです。

リュウグウノツカイ

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
リュウグウノツカイ

深海200〜1000メートル付近に生息する大型魚。生きた姿が目撃されることは極めて珍しく、「幻の深海魚」とも呼ばれています。

マンボウ

鳥取県境港市にある「海とくらしの史料館」
マンボウの「チョボリン」

展示されているのは地元・境港で水揚げされた体長2.8メートルの巨大個体。「チョボリン」という愛称が付けられ、愛嬌のある姿が目を引きます。

そのほかにも、シーラカンス、コバンザメ、ネズミフグ、ピラルクなど、多種多様な魚たちが並びます。中でも大量のハリセンボンが並ぶ「ハリセンボン通り」はインパクト抜群! 魚好きでなくても、思わず足を止めて見入ってしまうこと間違いなしです。

ハリセンボン通り
ハリセンボン通り

4000点の剥製を作った男の執念

しかし、この博物館の本当の見どころは魚だけではありません。
それらを作り上げた人物の“情熱”にあります。
館内に展示されている剥製の多くは、当時境港の水産会社に勤めていた種政幸さんによって制作されました。
今回初めて知ったのですが、その製法は以下の通り。

驚きの剥製プロセス

  1. 魚の口とエラから、肉や骨をすべて取り出して皮だけの状態にする。
  2. 薬品処理を施し、中に砂や木くず、微粒粉剤を詰めて元の形を正確に再現する。
  3. 自然乾燥させる(小さな魚でも1か月、大きな魚では1年以上かかることも!)。
  4. 乾燥後、特殊な樹脂を何10回も塗り重ねる。
  5. 最後に、中に入れた詰め物をすべて取り出して完成。

想像するだけで気が遠くなるような工程です。
しかもそれが約4000点も……!
種さんは、当時図鑑でしか見ることのできなかった「本当の魚」を子供たちに見せたいという思いから、この技術を独学で確立したと言います。

最初は魚の展示に目を奪われる。
しかし見ているうちに、次第に興味は魚そのものから、それを作り上げた人物へと移っていく。
「これを作った人はいったい何者なんだ」
気付けばそんなことを考えていました。展示の裏にある執念や情熱まで伝わってくるのが「海とくらしの史料館」の本当の魅力です。

まとめ|魚が詳しくなくても楽しめる異色の博物館

「海とくらしの史料館」は、単なる魚の博物館ではありません。
700種類・4000点という圧倒的な展示数もさることながら、その背後にある種さんの情熱と執念こそが最大の見どころです。

「魚に詳しくないから楽しめないかも」と思っていた私でも、700種類の剥製を前にして、お気に入りの魚を探すのが楽しくなっていました。
境港といえば水木しげるロードが有名ですが、時間に余裕があるならぜひこちらにも立ち寄ってみてください。
きっと「水のない水族館」の意味と、それを作り上げた男の情熱に触れられるはずです。

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スポット情報・アクセス

・訪問スポット:(外部リンク:公式サイト
・住所:鳥取県境港市花町8-1(Googleマップで開く
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