なぜ22年連続日本一?足立美術館で体感する異次元のスケール感

こんにちは! 今回は島根県安来市にある足立美術館を取り上げます。
ここは、アメリカの日本庭園専門誌で22年連続日本一に輝き、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」でも三つ星を獲得している、とにかく庭がすごいことで有名な美術館です。
71歳からの大ロマン。足立美術館とは
足立美術館は、安来市出身の実業家・足立全康によって1970年に設立されました。
設立当時、足立氏は71歳。
郷土への恩返しと文化発展を目的として開館し、その後1990年に91歳で亡くなるまで、
「世界の足立美術館にしたい」
という強いロマンを持ち続けていたそうです。
開館後10年あまりは入館者数が伸び悩み、美術館は閑散としていたとのこと。
それでも足立氏は365日、1日たりとも庭園の手入れを怠ることはありませんでした。
その結果が、22年連続日本一に結びついていると思うと、いくつになっても何かを始めるのに遅すぎることはないことを身をもって体現してくれている気がしますね。
遠くの山まで「庭」にする、圧倒的なスケール感
館内に入ってまず目に入るのが、穏やかな曲線を描く苔が印象的な苔庭。
静けさと柔らかさが同居する、落ち着いた空間です。

そして個人的に最も感動したのが、枯山水庭です。
奥に見えるのは勝山と京羅木山。
これらの遠景を庭の一部として取り込む借景が使われています。
そして中央の立石は山を表し、そこから流れる水が清流となり、手前の白砂でできた“大河”へと注がれています。
まさに雄大な自然を水を用いずに表現する枯山水庭の真骨頂と言えるでしょう。

足立美術館の庭園は約5万坪、東京ドーム約3.5個分の広さですが、借景の山々まで含めれば、もはや広さの概念が崩壊しています。
「スケールがバグってる」と脱帽するしかありません。
さらに枯山水庭の奥には、横山大観の作品「那智乃滝」をイメージした人工の滝を流してしまうあたり、並外れたこだわりを感じます。


「庭もまた、一幅の絵画である」
足立全康の信念の1つが、
「庭園もまた、一幅の絵画である」
というもの。
それを象徴しているのが、窓を額縁に見立てた空間設計です。
庭がまるで一枚の絵のように切り取られるこの構図を見たことがある人も多いはず。

さらに、庭園を床の間の掛け軸に見立てる仕掛けも。
季節や時間によって表情が変わるため、掛け替える必要のない“天然の掛け軸”。
こんなに豪華な掛け軸があるでしょうか(夏は暑く、冬は寒そうですが)。

庭園は全部で6つあり、歩を進めるたびに新しい作品に出会うような、贅沢な鑑賞体験を与えてくれます。
こちらは横山大観の名作「白沙青松」をモチーフにした庭園。
絵画と庭が相互に影響し合っているのが面白いところです。

日本トップクラスの横山大観コレクション
ここまで何度も名前が出てきている横山大観ですが、足立全康は日本トップクラスの大観コレクターとしても知られています。
そのコレクションが、この美術館のもう1つの大きな見どころです。
横山大観(1868年生まれ)は近代日本画の中心人物。
当時主流だった輪郭線による表現から一歩踏み出し、
・輪郭をぼかし
・色のにじみで空気感を描く
という「朦朧体」を確立しました。

個人的に特に印象に残ったのが「曳舟」です。
境界が曖昧で、霧や光がにじむように広がる画面。
大気の微妙な揺らぎまで感じ取れるような作品で、しばらくの間見入ってしまいました。

また「龍踊る」も印象的でした。
富士山のどっしりとした安定感と、雲の朧げな空気、そして躍動する龍。
このバランスが絶妙です。

魯山人の「不均一な美」に触れる
北大路魯山人の陶芸作品等を展示する魯山人館も見逃せません。


魯山人の器は、形が統一されておらず、一見すると均一的な美しさを拒否しているようにも見えます。しかしそれはむしろ、自然本来の不均一さを取り込んだ美しさ。
さらに彼は「料理が盛られて完成」と考えていたため、どんな料理が乗るのか想像しながら見ると、楽しみ方が一段深くなります。
庭園、絵画、空間設計、そして器。
「庭も絵画」
「自然を取り込む」
「完成させすぎない美」
足立美術館では、すべてが日本的な美意識で統一されています。
日本一と言われるのも納得の美術館です。
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スポット情報・アクセス
・訪問スポット:足立美術館(公式サイト)
・住所:島根県安来市古川町320(Googleマップで開く)
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