虎ノ門ヒルズ真横の木造建築「大坂屋 砂場」|その驚きの歴史とは

虎ノ門ヒルズ森タワーをはじめ、「虎ノ門ヒルズ」の名を冠した超高層ビル群が立ち並び、日本屈指のビジネス街へと変貌を遂げた虎ノ門エリア。
今回は、そんな最先端の都市空間の中で、ひときわ異彩を放つ老舗蕎麦店「虎ノ門 大坂屋 砂場」を紹介します。

「砂場」の名前の由来と歴史を感じる建物
高層ビル群に囲まれながらも、そこだけぽっかり時の流れが止まったかのような建物。それが「虎ノ門 大坂屋 砂場」です。
千鳥破風を備えた瓦屋根、白漆喰の小壁、重厚感のある木造建築は、確かな存在感を放っています。


この気品あふれる和風建築が建てられたのは1923年(大正12年)。
関東大震災や東京大空襲を乗り越えた貴重な歴史的建造物で、国の登録有形文化財にも指定されています。

「砂場」という屋号の起源は、豊臣秀吉による大坂城築城の際、資材置き場だった“砂場”の近くで蕎麦店が営業していたことに由来すると言われています。
「大坂屋砂場」は明治5年(1872年)、砂場本家から暖簾分けする形で創業しました。
山岡鉄舟、高橋泥舟、勝海舟という“幕末の三舟”にも愛された名店で、店内には山岡鉄舟が贈ったとされる書も残されています。
せっかくなので昼食をいただくことにし、「揚げ茄子とおろし蕎麦」を注文しました。
喉越しのよい端正な蕎麦に、揚げ茄子の香ばしさと大根おろしのさっぱり感がよく合います。さらに揚げしらすのアクセントが効いていて、とてもおいしい一杯でした。

実は建物ごと移動している
食事はもちろん素晴らしいのですが、“珍スポ”観点での「大坂屋 砂場」の最大の見どころは、建物そのものです。
実はこの建物、2021年に「建物ごと約4メートル移動」しているのです。
店の前を通る愛宕下通りの拡幅工事に伴い、本来であればこの建物は取り壊される運命にありました。しかし、極めて高い文化財的価値を考慮して保存が決定。そこで採用されたのが「曳家」という伝統工法でした。
地下にある配線を一度切断したうえで、建物をジャッキで持ち上げ、臨時に敷いたレールの上を少しずつ滑らせることで、建物を解体することなく移動させたのです。
言葉で聞くだけではにわかには信じがたい話ですが、Googleストリートビューで過去の写真を遡ると、その事実を確認することができます。
2023年のストリートビューでは現在の位置に建っていますが、工事前の2019年までタイムスリップしてみると、確かに建物が道路側に寄った場所に建っているのがわかります。



「建物を守るために建物ごと引っ越した」という、都市開発の歴史でもかなり稀有なエピソードです。
まとめ|再開発の波に抗い続ける虎ノ門の生き証人
最初に見たときは、高層ビル群の中にぽつんと取り残された古い建物のように見えました。
しかし歴史を知り、実際においしい蕎麦を食べ、曳家によって建物を守ったという執念のエピソードまで知ると、その印象はまったく変わります。
周囲では再開発によって街並みが次々と更新されていく中、「大坂屋 砂場」だけは流されることなく、凛とした姿で立ち続けています。しかも、その姿を守るために建物ごと移動するという離れ業までやってのけました。
虎ノ門という日本有数の一等地で、大正時代の建物を残し続ける店の心意気には思わず拍手を送りたくなります。「大坂屋 砂場」は震災や戦災、そして現代の再開発の波をすべて乗り越えた、東京の生き証人なのです。

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スポット情報・アクセス
・訪問スポット:虎ノ門 大坂屋 砂場(外部リンク:公式サイト)
・住所:東京都港区虎ノ門1-10-6(Googleマップで開く)
・全国珍スポMAP(ジャンル別に絞り込みできます)






