1015段の先に待つ絶景!山形・山寺(立石寺)の見どころ紹介

山形を代表する景勝地として知られる「山寺」。
正式名称は宝珠山立石寺と言い、860年に慈覚大師・円仁によって開かれた天台宗の古刹です。
切り立った断崖絶壁にへばりつくように建つお堂、風雨が削り出した奇岩群、そして遥か山上へと続く1015段もの石段。山全体が峻厳な「修行の場」であるこの場所は、かの松尾芭蕉が「おくのほそ道」の旅路で「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」の名句を残した地としても知られています。
今回は、1015段の石段を登り、自然と人間の祈りが融合した天空の絶景を目指しました。
日本最古級のブナ材建築「根本中堂」
参道を進むと最初に現れるのが「根本中堂」です。

現在の建物は1356年に再建されたもので、ブナ材を主要構造材として使用した建築としては日本最古とも言われています。
堂内には木造薬師如来坐像が安置されているほか、「不滅の法灯」が今も灯り続けています。この法灯は、慈覚大師・円仁が比叡山延暦寺から分けた火と伝えられ、織田信長の焼き討ちで延暦寺の灯火が途絶えた際には、逆に山寺から比叡山へ灯火が戻され、再び本山の法灯となったという逸話で知られています。
ここから先が、本格的な山寺巡りのスタートです。
いざ、1015段の石段を登る
山門で拝観料を納めると、いよいよ登山開始。


奥之院まで続く石段は1015段あります。
1015段と聞くとかなり過酷に思えますが、実際は階段だけが延々と続くわけではありません。途中には緩やかな坂道もあり、歩くリズムに自然とメリハリが生まれます。お堂や石仏を眺めながら小休止できる場所も多く、単なる「階段地獄」という感じではありませんでした。



登っている途中、郵便局員の方と並走するタイミングがありました。
実は山頂近くには郵便ポストが設置されており、ここから投函された手紙は毎日1回、郵便局員さんが石段を登って集荷しています。
少しお話を伺うと、この方は担当になって2年目。9年間このルートを担当していた前任者が定年退職し、その後を引き継いだそうです。
「雨の日は傘を差して、雪の日は靴にスパイクを付けて登ります」
そう話したあと、印象的だったのが次のひと言。
「そこにポストがある限り」
観光客にとっては旅の思い出になる山頂のポストですが、その裏では、こうして毎日欠かさず登り続ける人がいます。当たり前のように届く一通の手紙も、誰かの地道な仕事によって支えられていることを改めて感じました。

松尾芭蕉の「せみ塚」から、阿弥陀如来が浮かぶ「弥陀洞」へ
山の中腹には「せみ塚」があります。


ここは、松尾芭蕉が
閑さや 岩にしみ入る 蝉の声
の一句を詠んだ場所。現在も夏になると山全体に蝉の声が響き渡ります。
300年以上前、芭蕉も同じ場所で耳を澄ませていたのかと思うと、不思議な気持ちになります。
ちなみに、根本中堂から山門へ向かう途中には、松尾芭蕉と弟子・河合曾良の像も建てられています。

さらに進むと現れるのが「弥陀洞(みだほら)」。
長い年月をかけて風雨に削られた岩肌が、阿弥陀如来の立ち姿に見えると伝えられています。
僕にははっきりとわかりませんでしたが、仏の姿を見ることができた人には幸運が訪れるとも言われています。
なお、山寺一帯の岩は加工しやすい凝灰岩でできていて、古来より現世安穏を願う人々が削り残した、数え切れないほどの岩文字や供養の跡が刻み込まれています。ここが霊場であることを再確認させられる場所でもあります。

山寺を代表する名建築「仁王門」と天空のポスト
石段を登り続けると、堅牢な姿の「仁王門」が現れます。

現在の門は1848年に再建されたもので、欅材を用いた堂々たる建築。
左右に安置される仁王像は、運慶(※平安時代末期から鎌倉時代初期に活躍した仏師)の弟子たちの作と伝えられています。
山寺の山中に現れるこの重厚な門は、参拝者を迎える最後の関門のような存在感がありました。


石段を登り切ると、山寺の「奥之院」へ到着します。
この石段を1段ずつ登ることで、煩悩が消え、幸福へ近づくとも伝えられています。
現在の奥之院は明治5年に再建されたもので、慈覚大師・円仁が中国での修行中に携えていたと伝わる釈迦如来と多宝如来を本尊として祀っています。
隣接する大仏殿には、高さ約5メートルの金色に輝く阿弥陀如来像が安置されています。



そして、そのすぐ手前にある「中性院」の前に、先ほどの局員さんが目指していた「天空の郵便ポスト」がポツンと佇んでいます。すぐそばにある売店で購入した手紙に山寺の風を乗せて投函すれば、あの局員さんの手によって日本(世界)中へと送り届けられます。
山寺を象徴する風景「納経堂」と「五大堂」
「奥之院」での参拝を終え、少しルートを戻って崖沿いの脇道へと逸れると、山寺を代表する景色が姿を現します。
断崖の岩肌に寄り添うように建つ朱塗りの「納経堂」と、その隣に建つ「開山堂」。
自然と建築が見事に調和したその姿は、一幅の絵画のような美しさではないでしょうか。
山寺のパンフレットなどで目にすることの多い、まさに象徴的な風景です。




そして、山寺巡り最大の見どころが「五大堂」です。
僕が山寺を訪れてみたいと思った最大の理由も、この五大堂でした。
初めて写真を見たとき、その姿はまるで空中に浮かぶ能舞台のように見え、「日本にこんな場所があるのか」と強く惹きつけられたのを覚えています。
実際には能舞台とは関係なく、五大明王を祀る天下泰平の道場ですが、断崖からせり出すように建つ姿は圧巻です。
堂内へ足を踏み入れると3面が完全に吹き抜けになった開放的な空間が広がっていました。
欄干から眼下を望むと、山形ののどかな盆地とそれを囲む山々の大パノラマを一望できます。



写真でも十分美しい場所ですが、実際に立ってみると、そのスケール感だけでなく爽快な風も全身で感じられ、石段を登ってきた苦労が、一瞬で報われました。
まとめ|1015段の先にある、山形屈指の絶景
山寺は、単に「階段が多いお寺」ではありませんでした。
1100年以上の歴史を持つ古刹、松尾芭蕉ゆかりの文化、奇岩と一体になった建築美、そして五大堂から望む圧巻の景色。
そのすべてが、1015段という道のりの先に待っています。
数字だけを見ると少し身構えてしまいますが、実際には見どころが点在しているため、景色を楽しみながら歩いているうちに自然と山頂までたどり着けました。
山形を訪れるなら、ぜひ時間をかけて歩いてほしい名刹です。
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スポット情報・アクセス
・訪問スポット:宝珠山立石寺(外部リンク:公式サイト)
・住所:山形県山形市山寺4456-1(Googleマップで開く)
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