築78年“日本最古級の団地”へ──静岡「羽衣団地」見学会レポート

先日、静岡県静岡市にある「羽衣団地」の見学会に参加してきました。
ここは、現存する日本最古クラスの団地。
不定期開催の見学会は、なんと10人の定員に対して約50人の応募があったそうです。幸運にもこの高倍率をくぐり抜け、戦後復興の息吹が残る「48型」の世界に潜入してきました。
現存する日本最古級の団地
羽衣団地が建設されたのは、終戦からわずか3年後の1948年(昭和23年)。
「48型」と呼ばれる最初期の鉄筋コンクリート造(RC造)形式で、現在複数棟しか残ってない貴重な存在です。そのうち2棟が、ここ羽衣団地に現存しています。

この団地が作られた背景には、1940年の静岡大火、1945年の静岡空襲という2度の壊滅的被害がありました。安倍川からの強風による延焼を防ぐための「防火帯」として、一直線に並ぶRC造の建物が計画されたのです。
実際、航空写真を見ると、羽衣団地とその両隣の団地が一直線に並び、防火帯の役割を担っていたことがわかります。

いざ、団地内部へ
それでは実際に内部を見ていきましょう。
間取りはシンプルな2K。玄関の正面にトイレ、隣に台所、そして6畳と8畳の和室が並びます。
当時の家賃は1,200円。現在の価値に換算すると約4万5,000円ほどです。
驚くべきは、当時の入居者向けに「水洗トイレやガスの使い方の指導」が行われていたということ。今でこそ“昭和レトロ”な団地ですが、当時は全国民が憧れる最先端の「ドリームハウス」だったわけです。


台所と居間の間には、ちょっと面白い仕掛けがありました。
それは壁に開けられた「配膳口」。今でいう対面カウンターのような役割で、限られたスペースを機能的に使う工夫が凝らされています。

見学用の部屋には当時の生活用品も再現されており、使い込まれた和ダンスや箒が吊るされた様子は、まるで映画のセットのよう。

8畳間には、現代の住宅事情を先取りしたようなコンパクトな「床の間」も。
当時は5人兄弟などで住むことも多く、子供たちはドラえもんのように押し入れで寝るのも珍しくなかったそうです。また障子の奥にベランダがありますが、これはあとから付けたもの。そのため窓を跨いでベランダに出る必要があります。

共同浴場のリアル
続いて、外にある共同浴場へ。
当時は4世帯で1つの浴場を共有し、2日に1回のペースで利用していたそうです。
家にお風呂があるだけでステータスだった時代、お湯は薪で沸かしていました。その名残で、天井は今も真っ黒な煤に覆われています
ちなみに、順番が「4番目」になる世帯は……まあ、お湯のコンディション的にもなかなか厳しかったそうですよ(笑)。

現在はリノベーション住宅として活用
実はこの羽衣団地、現在は静岡市が県外からの移住者向けに、リノベーション物件として入居募集を行っています。
もちろん内部は水回りを含めてきれいに刷新されており、家賃はおよそ4万2,000円。静岡駅も生活圏内という立地を考えると、歴史的建築物に住めるというのは、意外とアリな選択肢かもしれません。
屋上から望む、かつての“タワマン”の景色
見学会の最後には、特別に屋上へ案内してもらいました。
当時はここが共用の物干し場であり、子供たちの遊び場でもありました。
今は県庁などの高い建物が立ち並んでいますが、当時は視界を遮るものもなく、富士山が一望できたはず。今で言う「東京タワーが見えるタワマン」のような、最高のブランド力を持っていたのではないでしょうか。

まとめ
「古い団地=レトロで可愛い」というだけでなく、それが戦後復興の最前線であり、人々の憧れの象徴だったという事実。
その文脈を知ることで、目の前の古い団地が、また違った輝きを持って見えてきます。内部を見学できる機会は限られていますが、ぜひ市の情報をチェックして、日本の住宅史における“生き証人”に会いに行ってみてください。
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スポット情報・アクセス
・訪問スポット:羽衣団地(公式サイト)
・住所:静岡県静岡市葵区駒形通4-6-10(Googleマップで開く)
・全国珍スポMAP(昭和レトロなどジャンル別に絞り込みできます)


