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「原爆スラム」と呼ばれた街|広島・基町アパートの戦後史を歩く

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まるで巨大な屏風!? 基町高層アパート

基町高層アパートの設計を担当したのは、大高正人率いる大高建築設計事務所です。
なんと言っても目を引くのが、その独特な形。
高層住宅が一直線に並ぶのではなく、ジグザグに折れ曲がりながら連続していて、まるで巨大な屏風のようです。

基町高層アパート
基町高層アパート

これは約8.1ヘクタールという限られた敷地に大量の住宅を確保しながら、日照や通風、プライバシーなどにも配慮するための工夫。建物を「く」の字に折り曲げることで、建物同士の間隔を確保しながら、大きな空地も生み出しています。
さらに、人工地盤やピロティ、屋上庭園なども取り入れられています。

こうした特徴から、基町高層アパートは現在では建築作品としても高く評価されていて、2013年度にはDOCOMOMO JAPANの「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されました。広島県も、基町高層アパートを「日本におけるアーバンデザインの先駆け」と位置付けています。

再開発事業は単に「大量の住宅を建てる」という発想ではありませんでした。
商店街、学校、保育所、幼稚園、集会所、消防署などを組み合わせ、住宅と公共施設が一体となった「1つのまち」を作ることが目指されました。
つまり、都市計画の面でも先進的な試みだったわけです。
「原爆スラム」と呼ばれた街は、こうして現在の基町へと生まれ変わっていきました。

原爆スラムと基町高層アパート
原爆スラムと基町高層アパート
エディオンピースウイング広島
基町高層アパートのすぐ隣には「エディオンピースウイング広島」がある

そして現在の基町

竣工から約半世紀が経過した現在、基町地区は新たな課題に直面しています。

  • 建物の老朽化: 1950年代建設の初期中層アパート群は老朽化に伴い、広島市が2035年度までに16棟438戸の廃止方針を決定。
  • 少子高齢化: 基町地区の高齢化率(65歳以上)は約47%に達し、広島市全体(約25%)を大きく上回る。
  • 多文化共生: 外国籍住民の割合が約22.7%(広島市全体は約3.1%)を占め、生活ルールの共有やコミュニティ形成が課題に。

※出典:基町資料室

基町高層アパートについて
基町高層アパートが抱える課題

これに対し広島市は、地域活動への参加等を条件に、所得制限を超える世帯や単身学生の入居を認める「特例的入居」を実施。現地で聞いたところ、現在約55世帯がこの制度を利用して入居しているそうで、若年層やコミュニティの担い手を呼び込む試みが続けられています。

まとめ|原爆スラムのクリアランス、そして都市の未来へ

川沿いのバラック群(原爆スラム)から、大高正人による先進的な高層住宅群の建設、そして現代の多文化共生と多世代交流の試みまで。
基町アパート群は、「昭和の巨大団地」として視覚的にも魅力的ですが、それだけではありません。

  • 戦後復興期における都市の住宅難をいかに克服したかという歴史的記録
  • モダニズム建築と都市計画が提示した「高密度集合住宅」の先進的な試み
  • 高齢化や多文化共生、地域コミュニティ再構築という現代日本の都市課題の最前線

被爆から80年近くにわたり、広島の戦後史と都市計画の実験が幾重にも積み重なった現場として、基町は今も動的に変化を続けています。

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スポット情報・アクセス

・訪問スポット:基町高層アパート(外部リンク:基町資料室 公式サイト)
・住所:広島県広島市中区基町18-18(Googleマップで開く)
・全国珍スポMAP(ジャンル別に絞り込みできます)

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