福島のへたれガンダムとは?盗難事件で全国区になった珍スポット

福島市郊外の、緑に囲まれたのどかな里山。
民家と畑が点在する道沿いの、砂利を敷いただけの小さな駐車スペースに、1体のガンダムがぽつんと立っています。

周囲には看板も説明板も一切ありません。
それにもかかわらず、この場所はGoogleマップにも「へたれガンダム」として登録され、福島市を代表する珍スポットの1つとして知られています。2020年に起きたとある事件をきっかけに、最も注目を集めていた頃には、1日に400人もの見物客が訪れたこともあったそうです。
「へたれガンダム」と呼ばれる理由
誰が最初に呼び始めたのかは定かではありませんが、その姿から「へたれガンダム」という愛称が定着しました。

やや縦長の頭部に、丸みを帯びた顔立ち。猫背気味で腰が引けたような姿勢に、ガニ股の細い脚。本家ガンダムのような勇ましさはなく、どこか頼りなく、それでいて妙に親しみを感じさせます。


このへたれガンダムは、2009~2010年頃に地元のアマチュア鉄工芸作家・佐々木さんによって制作されました。
設備工として長年働いてきた佐々木さんは定年後、工房を構えて本格的に鉄の作品を作り始めます。以前自作した恐竜像が老朽化のため撤去されることになったため、代わりに「地域の子供たちに楽しんでもらいたい」という一心でこのガンダム像を設置したそうです。
しかし完成から約1年後に佐々木さんは亡くなり、このへたれガンダムが遺作となりました。主を失ったガンダムですが、その想いを受け継いだ地域住民や有志の手によって大切にメンテナンスされ、これまでに二度の塗り直しが行われています。
全国区になった「ビームライフル盗難事件」
へたれガンダムが全国的に有名になったきっかけは、2020年の盗難事件でした。
ゴールデンウィーク中、ガンダムが持っていたビームライフルが何者かによって盗まれてしまったのです。
報告を受けた平石区の区長は警察へ被害届を提出。この出来事は同年6月、多くのニュースやテレビ番組で取り上げられ、「へたれガンダム」の存在が一気に全国へ知られることになりました。

すると、ニュースを見た全国のファンから、「丸腰ではかわいそうだ」という声が殺到。ここから、このスポットはさらにB級感を増していきます。
ガンダムの足元には、全国の有志からプラスチック製のおもちゃの銃やガンプラなど、さまざまな品物が次々と奉納されるようになったのです。

現在ガンダムが手にしているビームライフルは、福島工業高校の生徒6人と教諭が約1週間かけて製作した金属製のものです。
地域の人々だけでなく、全国のファンにも支えられながら今日まで受け継がれてきたガンダムなのです。


いつしか地域のランドマークへ
現在では、ツーリングやドライブの目的地として多くの人が訪れる平石のランドマークとなっています。
私が平日に訪れたときも、「へたれ感」を何とか写真に収めようと夢中で撮影している間に、2人の見物客がやって来ました。
またお正月には地域の人々によってしめ縄が飾られ、絵馬が奉納されることも。一介のキャラクターオブジェを超え、地域に見守られる小さな祈りの場、あるいは現代の民間信仰の対象のような存在になっているようです。
東京・お台場の実物大ユニコーンガンダムのような圧倒的な迫力はありません。
それでも、このどこか頼りない立ち姿には、人を引き寄せる不思議な魅力があります。
完璧ではないからこそ愛される――そんな福島ならではのB級スポットでした。

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スポット情報・アクセス
・訪問スポット:へたれガンダム
・住所:福島県福島市平石中稲場19(Googleマップで開く)
・全国珍スポMAP(ジャンル別に絞り込みできます)





